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いやー、訳がわかりません。
運転見合わせになったおかげで、いま高架ホームの下の駅舎は結構大変な騒ぎになってるようで。
ホームまで怒号が聞こえてくるぞ。
線路内の障害物って、そんな大変なもんなのか。
まあ、それは考えても仕方ない。
考えなきゃいけない、もうひとつの疑問がある。
どこだよ海鳴って。
図には載ってるけど、そんな名前でこんなでかい駅しらないよ俺。
つーか、路線図に知らない駅名が多すぎるんですけど。
駿河湾岸なら知名度ある都市が多いだろうに、ひとつもない。
「海鳴」の周りは、こんな状況。
・藤本
・西遠見
・遠見
・持船城
・海鳴
・風芽丘
・安国
・隆宮
上を西にして並べると、こんな感じ。
ちなみに、駅名は飛ばしてません。全駅それぞれ隣同士です。
つまり「線路上に障害物」があったのは、ここからもう少しだったわけだ。こりゃあ惜しいことを・・・じゃなくて。
どこだよここ。
豊橋出て少ししてから太平洋見えたんだぞ。電車は乗り間違えちゃいない。
百歩ゆずってどっかの駅名が変わったとしても、近くには次郎長親分の故郷とか東海道一の漁港とか、いろいろ有名な地名があったはずだろ。
なのに路線図には初耳の名前ばっかり載ってるし。
真剣に、訳がわかりません。
と。
いつまでも時刻表の前でブツブツつぶやいてると、知らない人に引かれるので、そろそろ何か対策を考えなきゃいかん。
さて、いま俺が知りたいことはなにか。
こいつは簡単だ。
・ここはどこ
まずは以上。
何をさておいてもこれだ。金は最悪セブイレのATMから引き出せるし、交通手段の選択は現在地が分かってこそ。
そもそもどこにいるのか分からなきゃ、実家へも帰りようがない。ゴールは分かっているんだから、スタート地点を確認できれば、どっちへ向かえばいいかわかる。
では、どうするか。
方法その一:
駅員さんに聞く
明らかに無理だろう。
下の改札あたりでけっこう騒ぎが激しくなってるし、ホームにも作業服にメットかぶったおっさんたちが上がってきて、難しい顔でおたがいに相談したり、業務用の電話でどっかと話したりしてる。
たぶん話す暇ないな。
となると。
方法その二:
まわりの人に聞く
却下。
改札で文句言ってたら声かけられて、相手の第一声が
「あのすいません、ここはどこでしょう」
・・・アホか。
ただでさえ電車が不通でみんなイラついてるときに、そんな間抜けなことは質問できない。
方法その三:
人以外に聞く
つまり文献にあたるわけですね。
何も人に聞くだけが場所を知る方法ってわけじゃない。駅の改札には、だいたい近辺をくわしく描いた地図があるもんだ。
しかも、ここ海鳴は大きな駅ビルがある。
本屋いっこぐらい入ってるべ。そこで地図帳を立ち読みして、現在位置をつかむのも悪くない。
ついでに買いそこねてた打海文三の遺作も探してみよう。
応化戦記、けっきょく未完で終わっちゃったなあ・・・
っと、いかんいかん。
とにかく改札前と書店で、現在位置をみることにしよう。
このデタラメな町がどこにあるのか、それによっては実家へ連絡せにゃならん。親父が今夜いっしょに飲もうとうるさいのだ。それ以外にも、できれば今日の夕方までに帰りたい理由がある。
と、そう結論して、駅ビルのデパート「アルシェ」にやってきたわけです。
改札前の地図はどうしたって?
あんなの部外者の俺が見てもなにも分かりませんよ。
ほんとに市街の地図しかないんだから。
まあ、ここが駿府の町っぽいことは分かったけどね。
鉄道が一本だけってどんな車社会だ。
案内表示にしたがって、カルチャーなんとかのコーナーがあるという5階へ。
そこの書店で、地図コーナーを店員に訊く。
案内してもらってお礼を言いつつ、東海地方の地図を立ち読み開始。
あとは浜松以東を探すだけ・・・
探すだけ・・・
だけ・・・
・・・
おかしいな。
ない。
東海地方の地図に、駿河湾がない。
浜名湖はあった。
ジュビロの本拠地もあった。
新幹線で浜松の次の駅・・・は、名前が大河利家の中の人みたいになってた。
そこから先は、見たことある地形に見たことない地名のオンパレード。
そして、
まさかの(俺の記憶では)大井川以東がぶっつり。
どういうことだ。中東部は見捨てられたのか。
などとひとりでブツクサ言ってる俺きめぇ状態になりつつ、浜名湖から大井川までをにらみ続けていたのだが。
わけのわからないものを、発見してしまった。
高校は世界史選択だったので、俺はいまいち日本地理を分かってない。
だが、これだけは言える。
俺は生まれてから十八年間、
“浜松県”なんてものは
見たことも聞いたこともない。
いやもう、こう見えて泰然自若と腰を抜かしていた俺にしてみれば、どんな悪ふざけって話ですよ。
最近こういう番組もやらなくなったから、たぶんドッキリ系ではない。
なら、この地図が狂っているに違いない。
まあパニクってるなりに、筋道が通ったことを考えたもんだと自賛しながら、俺はラックに地図を戻して、隣の関東道路地図に次の目標をさだめた。
手に取った。開いた。広域地図ページまでめくりつづけた。
目に飛び込んできたのが、駿河湾沿岸の道路地図。
表題は「 海 鳴 県 」。
県庁所在地は海鳴。県域は大井川から箱根まで。
なぜか、この海鳴県とやらは関東地方に含まれているらしい。頭が混乱しすぎて逆に冴えているから、こういう細かいところにツッコミが入るんだろうな、と自己分析もとい現実逃避。
左上のはじっこの方に「筑摩県」とかまた訳のわからない県名が載っていたが、なんとなく怖くなったので見ないことにする。
そして、ここまで地図を見ておいてなんなんだが、俺はようやく気づいた。
東海道新幹線が、描かれていないことに。
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続いてしまいましたごめんなさい。
また電波が降りてきたのでカッとなってやった。もう反省しない。

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