2009年8月21日金曜日

習作その4

すみません。やっぱり本編はないんです。




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 いやー、訳がわかりません。
 運転見合わせになったおかげで、いま高架ホームの下の駅舎は結構大変な騒ぎになってるようで。
 ホームまで怒号が聞こえてくるぞ。
 線路内の障害物って、そんな大変なもんなのか。

 まあ、それは考えても仕方ない。
 考えなきゃいけない、もうひとつの疑問がある。



 どこだよ海鳴って。



 図には載ってるけど、そんな名前でこんなでかい駅しらないよ俺。
 つーか、路線図に知らない駅名が多すぎるんですけど。
 駿河湾岸なら知名度ある都市が多いだろうに、ひとつもない。

 「海鳴」の周りは、こんな状況。

 ・藤本
 ・西遠見
 ・遠見
 ・持船城
 ・海鳴
 ・風芽丘
 ・安国
 ・隆宮

 上を西にして並べると、こんな感じ。
 ちなみに、駅名は飛ばしてません。全駅それぞれ隣同士です。
 つまり「線路上に障害物」があったのは、ここからもう少しだったわけだ。こりゃあ惜しいことを・・・じゃなくて。

 どこだよここ。
 豊橋出て少ししてから太平洋見えたんだぞ。電車は乗り間違えちゃいない。
 百歩ゆずってどっかの駅名が変わったとしても、近くには次郎長親分の故郷とか東海道一の漁港とか、いろいろ有名な地名があったはずだろ。

 なのに路線図には初耳の名前ばっかり載ってるし。

 真剣に、訳がわかりません。




 




 と。
 いつまでも時刻表の前でブツブツつぶやいてると、知らない人に引かれるので、そろそろ何か対策を考えなきゃいかん。

 さて、いま俺が知りたいことはなにか。
 こいつは簡単だ。

 ・ここはどこ

 まずは以上。
 何をさておいてもこれだ。金は最悪セブイレのATMから引き出せるし、交通手段の選択は現在地が分かってこそ。
 そもそもどこにいるのか分からなきゃ、実家へも帰りようがない。ゴールは分かっているんだから、スタート地点を確認できれば、どっちへ向かえばいいかわかる。

 では、どうするか。



 方法その一:
 駅員さんに聞く

 明らかに無理だろう。
 下の改札あたりでけっこう騒ぎが激しくなってるし、ホームにも作業服にメットかぶったおっさんたちが上がってきて、難しい顔でおたがいに相談したり、業務用の電話でどっかと話したりしてる。
 たぶん話す暇ないな。
 となると。



 方法その二:
 まわりの人に聞く

 却下。
 改札で文句言ってたら声かけられて、相手の第一声が
「あのすいません、ここはどこでしょう」

 ・・・アホか。
 ただでさえ電車が不通でみんなイラついてるときに、そんな間抜けなことは質問できない。



 方法その三:
 人以外に聞く

 つまり文献にあたるわけですね。
 何も人に聞くだけが場所を知る方法ってわけじゃない。駅の改札には、だいたい近辺をくわしく描いた地図があるもんだ。

 しかも、ここ海鳴は大きな駅ビルがある。
 本屋いっこぐらい入ってるべ。そこで地図帳を立ち読みして、現在位置をつかむのも悪くない。
 ついでに買いそこねてた打海文三の遺作も探してみよう。
 応化戦記、けっきょく未完で終わっちゃったなあ・・・

 っと、いかんいかん。
 とにかく改札前と書店で、現在位置をみることにしよう。
 このデタラメな町がどこにあるのか、それによっては実家へ連絡せにゃならん。親父が今夜いっしょに飲もうとうるさいのだ。それ以外にも、できれば今日の夕方までに帰りたい理由がある。



 と、そう結論して、駅ビルのデパート「アルシェ」にやってきたわけです。

 改札前の地図はどうしたって?
 あんなの部外者の俺が見てもなにも分かりませんよ。
 ほんとに市街の地図しかないんだから。

 まあ、ここが駿府の町っぽいことは分かったけどね。
 鉄道が一本だけってどんな車社会だ。
 

 案内表示にしたがって、カルチャーなんとかのコーナーがあるという5階へ。
 そこの書店で、地図コーナーを店員に訊く。
 案内してもらってお礼を言いつつ、東海地方の地図を立ち読み開始。
 あとは浜松以東を探すだけ・・・


 探すだけ・・・


 だけ・・・


 ・・・


 おかしいな。

 ない。
 東海地方の地図に、駿河湾がない。
 
 浜名湖はあった。
 ジュビロの本拠地もあった。
 新幹線で浜松の次の駅・・・は、名前が大河利家の中の人みたいになってた。
 そこから先は、見たことある地形に見たことない地名のオンパレード。

 そして、

 まさかの(俺の記憶では)大井川以東がぶっつり。
 どういうことだ。中東部は見捨てられたのか。
 などとひとりでブツクサ言ってる俺きめぇ状態になりつつ、浜名湖から大井川までをにらみ続けていたのだが。



 わけのわからないものを、発見してしまった。



 高校は世界史選択だったので、俺はいまいち日本地理を分かってない。
 だが、これだけは言える。





 俺は生まれてから十八年間、



 “浜松県”なんてものは



 見たことも聞いたこともない。





 いやもう、こう見えて泰然自若と腰を抜かしていた俺にしてみれば、どんな悪ふざけって話ですよ。
 最近こういう番組もやらなくなったから、たぶんドッキリ系ではない。
 なら、この地図が狂っているに違いない。

 まあパニクってるなりに、筋道が通ったことを考えたもんだと自賛しながら、俺はラックに地図を戻して、隣の関東道路地図に次の目標をさだめた。

 手に取った。開いた。広域地図ページまでめくりつづけた。
 目に飛び込んできたのが、駿河湾沿岸の道路地図。
 

 表題は「 海 鳴 県 」。


 県庁所在地は海鳴。県域は大井川から箱根まで。
 なぜか、この海鳴県とやらは関東地方に含まれているらしい。頭が混乱しすぎて逆に冴えているから、こういう細かいところにツッコミが入るんだろうな、と自己分析もとい現実逃避。
 左上のはじっこの方に「筑摩県」とかまた訳のわからない県名が載っていたが、なんとなく怖くなったので見ないことにする。

 そして、ここまで地図を見ておいてなんなんだが、俺はようやく気づいた。




 東海道新幹線が、描かれていないことに。



 


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続いてしまいましたごめんなさい。

また電波が降りてきたのでカッとなってやった。もう反省しない。

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